矯正治療で抜歯が必要になるのはどんな時?
矯正治療を行う場合、歯を抜いて並べる、ということを耳にしたことがあるかもしれません。なるべく歯を抜かずに矯正治療をしたい、と誰もが考えますが、中には抜歯をしなければ治療がうまくいかない場合、というのがあります。
今回は、矯正治療を行う際にどんなケースで抜歯が必要になるのか、ご紹介していきます。
歯列矯正で抜歯が必要になるのはどのようなケース?
歯列矯正では、絶対にどこかの歯を抜歯しなければならない、ということはなく、抜歯なしでできるケースというものあります。
ですが、次のような場合には、抜歯をしなければ矯正治療をしてもあまり良い結果となりません。
・顎の骨が小さめで、それに対し歯が大きすぎるケース
・上下の顎の骨の大きさに差がある場合
・上下の位置のアンバランスが大きい場合
・口元が前方に出っ張っているケース
抜歯矯正になりやすい具体的な不正咬合とは
◆重度の叢生(そうせい)
叢生とは、歯がガタガタに重なり合っている状態をいいます。これは、歯の大きさと顎の大きさのアンバランスが原因になっています。軽度の重なりであれば、抜歯をしなくても済むケースが多いですが、程度が大きい場合には、歯を間引かなければきれいに並べることができません。
◆重度の出っ歯(上顎前突)
出っ歯を改善するためには、口元を後方へ引っ込めなければなりません。そのためには抜歯をして引っ込める必要があります。
◆重度の受け口(下顎前突)
下顎が大きく出ているケースも同様に、上下の顎のアンバランスを解消するために、抜歯をする必要性が出てきます。ただし、重度の受け口の場合には、顎の骨を切る手術が必要になることも多くあります。
◆上下ともに前方に出ているケース(上下顎前突)
上下の顎の骨、歯が前方に張り出していて口元全体が前に出ている場合には、出っ張り感を解消するために、抜歯をする必要があります。
非抜歯で行うリスク
抜歯が必要なケースを抜歯せず、無理やり非抜歯で行うと、次のようなことが起こるリスクがあります。
◆口元の出っ張り感が取れない
前方に出た口元を引っ込めるのに、抜歯なしで行うのはほぼ不可能です。そのため、満足のいかない結果に終わる可能性が高くなります。
◆歯茎が下がる恐れがある
歯がガタガタに重なっているのを、歯を抜かずに並べるとなると、歯を外側に傾けて並べるしかなくなります。そうすると、歯が埋まっている骨よりも前方に出てきてしまい、歯茎が下がってしまう原因になります。
◆矯正後の後戻りが起こりやすい
非抜歯で無理やり並べると、矯正治療後の後戻り現象がより起きやすくなります。
矯正治療をする場合、可能なケースにおいてはなるべく非抜歯で進めることを優先しますが、歯並びの状況によっては抜歯をしなければ非常に難しいケース、不可能なケースというのもありますので、それぞれの状況に合わせて対応していくことが大事です。