その激痛は歯じゃないかも?三叉神経痛とは?
歯に痛みを感じていて歯科医院を受診する患者さんの中で、歯に問題がないケースというのがあります。その中に三叉神経痛というものがあります。
歯に激痛を感じているものの、歯科治療をおこなっても症状は消退せず、ずっと痛みに苦しんでいる、という方はひょっとしたら三叉神経痛を疑ってみたほうがいいかもしれません。
三叉神経痛によって起こる痛みの程度は強く、日常生活が困難になる人も少なくありません。そのため正しく診断され、適切な治療が行われる必要があります。
今回は三叉神経痛についてその原因や症状、治療法についてご紹介します。
三叉神経痛とは?その原因
三叉神経痛とは、三叉神経が存在する部分に生じる痛みのことです。
三叉神経は顔面の感覚を脳に伝える神経のことで、「眼神経」「上顎神経」「下顎神経」から成っています。
原因として、この神経のいずれかが頭蓋骨内にある血管によって圧迫されることで発症する場合、腫瘍や血管の奇形、外傷、帯状疱疹などによって起こされる場合、また、原因不明の場合があります。
三叉神経痛の症状
三叉神経痛は、通常左右のいずれか、片側に起こり、50~60代以降の女性に多い傾向があります。
痛みは発作的に起こり、発作は、食事、洗顔、歯磨き、髭剃り、会話などのちょっとしたことがきっかけとなって起こります。発作の起こる場所が歯のある場所と近い場合が多く、歯が激痛を起こしていると錯覚して歯科医院を受診する人がとても多いのが特徴です。
ですが、歯が原因ではないので、実際に歯を削ったり、神経を取ったり、抜いたりしても痛みは消えることはなく、つらい痛みに悩まされ続けるという経過をたどる人も少なくありません。
◆三叉神経痛の痛みの特徴
・針で刺されたような発作性の激烈な痛み
・顔面の動きがきっかけで誘発される
・触ると痛みを起こすトリガーポイントがある
・通常は片側性に起こる
・一度痛みが起こると数十秒痛みが続き、1日に何度か起こる
・いったん寛解しても再発することが多い
三叉神経痛の治療法
三叉神経痛は、適切な治療を行うことで痛みの緩和が期待できるため、痛みの特徴から三叉神経痛が疑われる場合には、早めに専門の医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
三叉神経痛の治療法としては以下のことがおこなわれます。
薬物療法
最初に用いる治療法です。続けていくうちに効果が落ちてくる場合には薬の量を増やすこともありますが、副作用の観点から他の治療法に移行することも多くあります。
神経ブロック
痛みが起こる神経をブロックする方法ですが、ブロックした場所にしびれ、麻痺を起こしてしまう場合もあります。
ガンマナイフ
放射線による治療法です。痛みの緩和が可能ですが、線量によっては痺れを起こすことがあります。
手術療法
血管が神経を圧迫している疑いがある場合には、血管の圧迫を取り除く手術が有効です。
近年では、耳の後ろに小さな穴をあけ、マイクロスコープによる「神経血管減圧術」という負担を抑えた方法もあります。