最も天然の歯に近い感覚が得られる治療法
歯科でいうインプラントというのは人工歯根のことで、歯を失った部分にチタン製の人工歯根を埋めて、その上に被せ物をする方法です。
歯を失うと、従来では取り外し式の入れ歯や固定式のブリッジにするのが一般的な方法でしたが、インプラント治療の良さが認識されるにつれ、インプラント治療を希望する方が増えてきています。
インプラントに人気がある理由として、骨に埋め込んであるため、天然の歯に近い感覚や見た目が得られるということが挙げられます。ですが、インプラントはそれだけでなく、この他にも多くの素晴らしい特徴を持っています。
歯を失った時に歯を補う治療法としては、インプラント以外に入れ歯とブリッジがあります。これらの治療法はそれぞれ全く違った特徴を持っており、いずれかの治療法が絶対的に優れている、というわけではありません。
それぞれの治療法の特徴は、次の通りです。
歯を失ったあごの骨に人工歯根を埋め込み、その上に被せ物をします。人工歯根を埋めるために手術を必要とし、人工歯根とあごの骨が一体化するのを待ってから被せ物をするため、歯が入るまでには通常数ヶ月の期間を必要とします。通常、自由診療のみとなります。
●噛んだ刺激が直接あごの骨に伝わり、天然歯のような噛み心地が得られる
●見た目が自然
●他の歯にダメージを与えず、単独で入れることができる
●あごの骨がやせにくい
●保険がきかないため、治療費が高め
●抜歯と同程度の手術が必要
●あごの骨の状態が良くない場合にはできないこともある
歯を失った場合、どんなケースにも対応できる、最も適用範囲の広い治療法です。部分入れ歯と総入れ歯があり、取り外し式のものとなります。どんなケースにも対応できて保険適用も可能なため、最も選ばれている治療法です。
●保険のものを選ぶと安価
●どんなケースにも対応できる
●短期間で入れられる
●修理が簡単なケースが多い
●噛む能力が他の治療法に比べて一番弱い
●違和感が強い
●入れ歯と歯茎の間にものが挟まりやすい
●部分入れ歯の場合、金具がかかる歯に大きな負担がかかる
●保険の部分入れ歯の場合、金具が見えて見た目が良くない
●あごの骨がやせてしまいやすい
歯を少数失った場合に行われる治療法で、歯がない部分の両隣の歯を削って、橋を渡すように連結した人工歯をかぶせて固定します。保険適用が可能です。
●保険のものを選ぶと安価
●短期間で入れられる
●天然歯の6割くらいの噛み心地が得られる
●固定式なので楽
●歯を入れるために健康な歯を大量に削る必要がある
●失った部分を支える歯に大きな力の負担がかかる
●保険の場合、審美的に問題が出やすい
●あごの骨がやせてしまいやすい
それぞれの治療法にそれぞれの良いところがありますが、インプラントは単独で独立して入れられるという点から、他の歯にダメージを最も与えない方法だと言えます。
他の治療法では、どうしても周囲の歯に少なからずダメージを与えてしまいますので、結局はそれらの歯の寿命を縮めてしまうことになります。
そのため、歯を長持ちさせたいのであればインプラントが断然有利だということが言えますし、他の歯の治療の必要性がその分減るということを考えると、生涯にかかる治療費も抑えられる可能性があります。
インプラントは一般的に成功率90%以上と言われているほど、とても成功率の高い治療法です。また、お手入れをしっかりと行っていれば、通常は10年、15年以上持たせることでき、20年、30年持たせることも決して珍しくありません。
一方、入れ歯やブリッジの場合、10年以内でダメになることがほとんどであり、その際他の歯まで巻き込まれてダメになってしまうことも少なくありません。
こういったことから考えて、インプラントは長期的な観点で全体的に健康なお口を保つのに断然有利であると言えるでしょう。
歯を失っても、奥歯の場合だと見た目にすぐ影響が出ない、反対側で噛める、というような理由で放置されてしまう場合があります。歯が抜けたところを放置していると、次のようなことが起こってくる危険性があります。
●周囲の歯が移動、傾斜してきてかみ合わせが崩れてしまう
●前歯に負担がかかり、出っ歯気味になってくる
●一部の歯に負担がかかりすぎて歯がダメになってしまう
●顎関節症や頭痛、肩こり、体の痛みなどの不調を起こす
歯は1本でもなくなると、全体のバランスが崩れ、次々に不具合を起こしてきます。そのため、「少しくらい」と思って抜けたところを放置することはせず、早めに治療を受けることをおすすめします。